久米島の総人口は以下の通り右肩下がりで推移しています。総務省が発表している社会・人口統計体系/市区町村データ1によると、久米島の総人口は2020年時点で7,192人です。2045年度には2020年度比35.1%減の4,665人となる見込みです。年換算すると、1年間に約100人が久米島から島外に転出する計算となります。
人口減少は島民の生活基盤となるサービス施設の立地にも影響を与えます。民間事業者が運営する飲食店、娯楽施設、学習塾は、顧客である住民が一定水準以上存在することで事業として継続することが可能となります。人口が減少すると、民間事業者は事業を持続可能なかたちで運営することができず、撤退を余儀なくされます。
人口減少による弊害
「国土のグランドデザイン2050 ~対流促進型国土の形成~」第8回(平成26年5月30日)の資料4−32を参考にすると、2024年現在の約7,000人の人口が2045年の推計値4,600人まで減少することにより、以下のサービス施設が久米島から無くなる可能性があります。
- 遊技場(必要最低人口:約5,500人)
- 銀行(必要最低人口:約6,500人)
- 学習塾(必要最低人口:約5,500人)
- 音楽教授業(必要最低人口:約4,500人)
- 一般病院(必要最低人口:約7,500人)
- 通所・短期入所介護事業(必要最低人口:約6,500人)
いずれも島の教育、文化、福祉を支える重要なサービスです。
人口減少の要因区分
人口減少には大きく2つの要因があります。1つ目は自然動態または自然増減と呼ばれ、「出生者数−死亡者数」で計算されます。2つ目は社会動態または社会増減と呼ばれ、「転入者数−転出者数」で計算されます。
それでは久米島町とその他地域の社会増減について見ていきます。
久米島|久米島町
まず、久米島町の社会増減及び社会増減率(当年度の社会増減数÷前年度の総人口)を見ていきます。2018年以降、久米島町の社会増減数は一貫して減少しています。特に2021年度以降は減少幅が大きくなっており、社会増減の悪化が加速度的に進行している可能性を示唆しています。
伊江島|伊江村
続いて、沖縄本島から近い離島として久米島町と似た特徴を持つ伊江島の伊江村について見ていきます。伊江村も久米島町と同様に社会増減数は一貫して減少しています。一方で、久米島町に比較すると社会増減率は概ね横ばいとなっており、社会増減数の悪化は漸進的に進行しています。
宮古島|宮古島市
宮古島市の人口は約5万人であり、久米島町の約7倍の人口です。宮古島市は、久米島町や伊江村と異なり社会増減数・増減率が増加しています。下記グラフには表示されていませんが、宮古島市も2017年頃までは久米島町と同様に毎年減少傾向にありました。2018年から増加に転じています。これは2015年に宮古島と下地島を繋ぐ伊良部大橋が開通したこと、また、2019年に宮古島市の第2の空の玄関口である下地島空港が開業したことが少なからず影響を与えていると推測されます。
石垣島|石垣市
石垣市も宮古島市と同規模であり人口は約5万人です。石垣島市は社会増減数・増減率の変化が大きい地域です。他の離島に先駆けてリゾート開発や都市再開発が進んでおり、それに伴い2020年までは人口増加が進んでいました。しかし、2021年度〜2022年度においては減少に転じています。なお、2023年度においては社会増減が再び増加に転じているようで、人口も初めて5万人を突破しています。
市町村別の社会増減
最後に、沖縄県内各市町村の社会増減情報を掲載します。傾向としては以下の通りです。
- 離島においては、人口の多い宮古島市・石垣市を除く各市町村は総じて社会増減が減少傾向にある。
- 本島北部においては、名護市を除く各市町村は総じて社会増減が減少傾向にある。
- 本島中部においては、うるま市や中城村、北中城村において社会増減が増加傾向にある。
- 本島南部においては、那覇市や浦添市の社会増減が減少傾向にある一方で、南城市や八重瀬町といった南東部の市町村が増加傾向にある。これは那覇市の地価高騰を背景にドーナツ化現象が発生していると推測される。